おわりの音が響いた

 「サダメ様、なぜ人の王は兄様を襲ったのです」

 「自分たちの方が強いって知らしめたかったみたいだけど、兄上倒れる直前にその場の全員を返り討ちにして殺したらしいからどっちが強いかは明白だ。人が鬼に敵うはずないし」

 「兄様、あなたなら怪我をしないようにも出来たはず。それなのにどうしてです」

 「怒るな、お前の悲しんだ顔がみたかったんだ」

 「さいってー。ゲス兄上ゲス」

 「うるさい。お前はもう出ていけ」

 「可愛いセツナの泣き顔みたいなんて、鬼畜。でも確かにそそる顔、いいねその顔も」

 「わたくしは二人に怒っています。こうして顔を合わせれば仲良くやれる。家族なのですから。それがなぜ十年も争いをしているのです」

 「わからないか」

 「セツナだよ」

< 36 / 49 >

この作品をシェア

pagetop