おわりの音が響いた
ベッドから上体を起こし、コトワリはセツナの髪を指で絡めとった。
「お前がいない世は退屈だった。どんな輝かしい王冠も名誉も名声も何一つ色をなさない。それが今はどうだ。お前の足についた忌まわしい鈴の音が胸に響く度心が騒ぎたてる。私はお前なしではいられない。だから、戦う」
「僕は人も鬼もどうでもいい。皆いっそ死ねばいい。セツナを閉じ込めるこの世の全てを消し去りたい。けど、制約がお前を引き離す。冷たい壁も床も鉄の輪も何もかもを壊すには理由がいる。力だけでは及ばぬモノがあるって僕は知った。だから戦う」
「セツナ」
「セツナ」
二人はセツナを見つめた。
流れた血の重みで、倒れそうになった。
注がれた代償の数を想えば二人の行動は浅はかでしかない。
人も鬼も、多くが死んだ。
それも全て自分を解放するためだけの理由で。
その愚かで残酷な思いに、足元から崩れ落ちそうになった。
「わたくしは、囚われたままでいい…そんな…のはいりません」