おわりの音が響いた
その音は残酷を告げる

あらがえぬ血


 --

 ーリンー

 その音を聞いた時、全ての鬼は地に頭を垂れる。

 身体を流れる血が逆流する感覚に襲われ、高貴な‶それ”に屈服しろと命じる。

 その鈴の音は特別なモノであった。

 だが、それは鬼だけが感じ取れるモノであった。

 人と鬼の共存するこの世界で、セツナの鈴が鳴れば鬼がどこにいるか見て取れた。

 服従するその姿に人は気味悪さを口に出す。

 「わたくしはこんな立場にない」

 忌々しい鈴の存在にセツナは溜息を吐いた。

 「高貴なる王族の主様、その気分はいかがです?」

 どこからか聞こえた声に、クレノが周囲を見渡した。

 鬼ではない、人であろうその声に周囲から失笑が漏れた。

 獣を屈服させる絶対の存在も、種族が違えば意味をなさない。

 「行きましょう」

 足早にせかすクレノは小さな声を聴いた。



 
< 39 / 49 >

この作品をシェア

pagetop