おわりの音が響いた
その音は残酷を告げる
あらがえぬ血
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ーリンー
その音を聞いた時、全ての鬼は地に頭を垂れる。
身体を流れる血が逆流する感覚に襲われ、高貴な‶それ”に屈服しろと命じる。
その鈴の音は特別なモノであった。
だが、それは鬼だけが感じ取れるモノであった。
人と鬼の共存するこの世界で、セツナの鈴が鳴れば鬼がどこにいるか見て取れた。
服従するその姿に人は気味悪さを口に出す。
「わたくしはこんな立場にない」
忌々しい鈴の存在にセツナは溜息を吐いた。
「高貴なる王族の主様、その気分はいかがです?」
どこからか聞こえた声に、クレノが周囲を見渡した。
鬼ではない、人であろうその声に周囲から失笑が漏れた。
獣を屈服させる絶対の存在も、種族が違えば意味をなさない。
「行きましょう」
足早にせかすクレノは小さな声を聴いた。