おわりの音が響いた
「テン、今後腕をあげるのは禁止。わかったか?」
クレノの説教にテンは頷く。
「きんし」
「足もだめだからな」
「だめ」
二人のやり取りを眺めながら、トギは頭をかいた。
「こわー。さすがに引くわ」
「…トギ、なぜ煽る様な事を言ったの?」
質問が意外だったか、トギは歩きながらセツナを見た。
「煽ってなんか」
「子供を殺された親にもう死んだなんて言っても聞いてもらえない」
「…別に。ただ戦いで死人が出るのは当然なんだ。戦争なんだからなおさら。利益だけを考えるから後で帳尻が狂うんだ。俺はそんなのを死ぬほど見てきたから、きらいなんだ。姫様にはわかんないだろうけどね」
誤魔化すような笑いを浮かべたトギにセツナは俯いた。
「戦いなんてわたくしもなくしたい。不毛なこの戦いも…早く決断をしないともっと死ぬ…」