おわりの音が響いた
「ニンゲンからはコトワリ様を、同族からはサダメ様を…」
「つまりどちらにつくか試されている、と…つまらぬ理由」
あきれたと溜息を漏らすセツナが歩き出す。
「どちらをお選びになられるのですか?」
「…どちらについてもわたくしは同じ。次の王が死するまで牢獄行き」
「…お二人の性別が決まればセツナ様も自由の身です」
「人につこうが同族につこうが“ふたりの性別が決まるまで”と言う制約がある限りわたくしが自由になる日はこない。話の限りではわたくしが必ずどちらかを殺すのだから」
鬼につきサダメを殺せばサダメは性別が決まらぬうちに死ぬ。
人につきコトワリを殺せば、サダメだけが生き残る。
つまりどちらかが確実に死ぬ限り、セツナに自由はない。
「それではこのまま逃げますか?誰の手にも渡らない遠くまで」
立ち止まったままクレノは言った。
「鬼の耳を侮るなよ坊ちゃん。俺らと違って純血のお貴族様は耳も鼻も百倍いいんだぜぇ?」