おわりの音が響いた
何時の間に現れたか。
クレノの視線の先、セツナの少し先に立った男が歩み寄ってきた。
汚れた布きれを纏った汚い男はセツナの足についた足輪と鈴を盗み見て頭を下げた。
「あんたが例の囚われのお姫様ね?念の為に聞くけどその鈴本物?ほら間違いでしたーじゃ洒落にならないから」
「なっ!離れろ無礼者!」
すかさずセツナの前に出るクレノに男が嘲笑する。
「あーはいはい。坊ちゃま君にはわからないだろうけど、俺らみたいなのは疑い深くなるわけよ。おわかり?わかったらほら、質問に答える答える」
「お前にはわからぬか?」
セツナが男を見据えながら、足を少し動かした。
-リンー
足にまかれた黒いベルトの先についた両の鈴。
それは単なる鈴に見えるが、歩くだけでは鳴らない特別なモノであった。
ただ歩く度に鳴るのであればうるさくて堪らないだろうその特別な鈴が鳴る。
胸の奥に響き、体中の血が逆流するかのように騒ぎ立て、傅きそうになるのを必死で堪えて目を逸らした。
「すげーすげー。さすが鈴。なるほど、認めた。あんたが俺のお姫様ね」