おわりの音が響いた
「答えろ!お前は誰だ!」
警戒するクレノに男が口角を上げてニヤついた。
「俺の名前はトギ。お姫様を守るナイトだよ」
「主は性別の固定をしていない!それにその喋り方、失礼だぞ!」
「はいはい。俺はあんたのこと知ってるよー?トガ一族の若すぎる従僕トギ・クレノくんでしょ?優秀だけど優秀すぎて先が怖いってことで早めに芽を摘まれることになったんだって?おかわいそーに。ご愁傷様」
心にもない言葉であるのは明白であった。
軽薄な態度、軽率な行動、どれをとってもクレノの勘に触る男であった。
「お前が剣志願者か…わたくしにお前は何をもたらす?」
「勝利ーって言いたいとこだけど、あんたみたいなお姫様は勝ちにこだわりそうにないよなー。だから…永続なる忠誠と名声を」
腰に下げていた長剣をむき出しの大地に突き刺したトギはニヤリと笑った。
「悪いね、傅くようなお行儀の良さは俺にはないんでね」
信頼に足りないと怒るクレノを下がらせ、セツナがトギの肩に触れた。
「賢く尽くせよ」
「御心のままに、我が主(レディ)」