『短編』恋する街角
『あんなにカップルだらけの街に一人で行くの?俺も一緒に行っていい?』


わたしは下を向き、小さく答えた。


『ごめんね、一人で行きたいの。』


野口くんは言う。


『…彩ちゃん。やっぱり…俺じゃ駄目なの?』


野口くんからは、今までに何回も告白されている。


わたしはいつもと同じ返事を返す。


『…ごめんね。』


『前にさ…、好きな奴いないって言ってたろ?ゆっくりでいいから俺のこと好きになってよ。』



わたしは野口くんを振り返り、その真剣な瞳を真っ直ぐ見つめた。


『わたし…好きな人、出来たの。』



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