『短編』恋する街角
 

野口くんは力が抜けたように笑った。


『何ヶ月も前に1度すれ違っただけの女の子なんて、向こうはもう忘れてるよ。』


わたしは野口くんの言葉に、少し怒って答えた。


『また会える、絶対!』


自分に言い聞かせるようにそう言った後、涙が溢れて来る。


『それでも…、わたしは好きなんだもん。』


逃げ場所を閉ざされたまま、わたしは涙を見られないように野口くんから顔を逸らした。


『…ゴメンな。泣かせたい訳じゃ無いんだ。』


わたしを追い詰めていた野口くんの手が、優しくわたしの肩に触れた。



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