『短編』恋する街角
運命
『…やり過ぎだろ。あんな…電車の中で…。』
次の駅で一緒に降りて来た野口くんが咎めるように彼に言った。
彼は笑って言う。
『ゴメンゴメン。この子に恥をかかせちゃいけないと思って。それに…。』
『それに?』
野口くんが憮然として言った。
『こんな可愛い女の子に告白されたら、ね。』
彼はわたしを見て、優しく聞いてきた。
『本気にして、いいんだよね?』
わたしは恥ずかしさのあまり俯いたまま、何度も頷いた。
『信用していいのか?』
野口くんが言う。
『遊びで付き合うつもりなら許さない。』