『短編』恋する街角
信号が青に変わる。
彼氏が彼女の手を掴み、彼女を守るかのように信号を渡る。
彼氏の歩幅に合わせて、彼女は小走りに彼氏について行く。
信号を渡り終えた二人は、ゆっくりした歩みとなり、手を繋いだまま街角の向こうに消えていった。
『…あーゆーの、憧れるなぁ…。』
わたしは思わずうっとりと呟いた。
『彩、アイス溶ける!』
由香里の一言でわたしはハッと我に返る。
『えっ?あっ、本当!』
わたしは持ったままのアイスクリームが溶け落ちそうになるのを慌てて舐めた。
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