もう遅すぎた恋
私だって、なんで泣いているのかなんてよくわからない。
なんで、やっと会えたなんてことを言ったのかも。
「…なんでも、ないです……」
私はとりあえずそう言って、笑顔を作った。
「そっか…よかった!じゃ、立てよ。…ん!」
先生が、差し出されたままだった手を少し前に出した。
それを見て、私は思い出した。
先生と出会った時からずっと感じていた違和感。
その正体は、きっと…
あれは、私の前の人生の終わりのことだった。