それは危険なラブミッション
そう言われて、目線を下げていく。
“甲”には東城寺ホテルの名が。
そして、“乙”には――……
「えっ!?」
思わず声を上げてしまった。
「……どういうこと?」
「そこにある通りだ」
東城寺ルイは顔色ひとつ変えない。
両親に借金があるだなんて、寝耳に水だ。
しかも、それが金融会社からのものじゃないというのだから。
「亡くなったご両親とうちのホテルが取引をしていたことは?」
書類を見て茫然とするばかりの私に、痺れを切らしたのか東城寺ルイが問いかける。
夫婦で小さなクリーニング店を営んではいたけれど、取引先までは私も知らない。
ホテル関係の下請けをやっていた可能性はあるだろうけれど。
首を横に振る。