それは危険なラブミッション

重ね重ね恥ずかしい。

慌てて拾い始めると、岬さんの手も伸びる。


「だ、大丈夫です」


手を止めてもらおうと制したものの、クスクスと笑いながら岬さんは拾い続けたのだった。


「……なんだか、すみません、本当に」


こんなはずじゃなかったのに。
全部が全部裏目に出る。

とにかく支払いだけでも。


「おいくらですか?」


改めて財布を取り出した。


「本当にいいんだって」

「それじゃ困ります」

「僕がいいって言ってるんだから、莉夏さんは素直に受け取ればいいんだよ」

「……それじゃ、それは返品してください」

「え?」

< 104 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop