それは危険なラブミッション
岬さんが私を連れて入ったのは、ホテルの3階にある中華料理のレストランだった。
副社長の登場に気付いて、スタッフたちの表情が引き締まる。
そして、一緒にいる私を見て、ほんの一瞬だけ目を見開いた。
多分、この見ず知らずの女性は誰? ということなのだろう。
そんなスタッフたちに構うことなく、岬さんは表情一つ変えない。
案内されたテーブルに着くと、「何を御馳走してもらおうかな」と岬さんがいたずらっぽく笑った。
「何でもどうぞ」
この前のワンピースにも今日のパンプスにも、値段は全然追いつかないだろうけれど。
店内は、ランチタイムにはまだ早いせいか、数組のお客しかいない。
そのせいか、スタッフたちの興味津々な視線が私たちへと遠慮なく注がれる。
少しいたたまれない気分になりながらメニューを広げて数分。
「本日のランチでもいい?」
岬さんから提案された。
「はい」