それは危険なラブミッション
この際何でもいい。
パタリとメニューを閉じた。
周りからの視線で、選ぶどころではなかったのだ。
「莉夏さんに意見を聞こうかと思って」
「……意見、ですか?」
「今日のランチメニューのね。この店、ラインナップを一新したばかりなんだけど、女性の率直な意見を聞きたくて」
「私、舌は肥えてる方じゃないんですけど……」
美味しい、不味いという程度なら意見を言えるとしても、ここをこうしたらいいだとか、そういった意見を言えるほどの舌は持ち合わせていない。
正直、味を見極める自信は全くない。
「いいんだよ。美味しいか美味しくないかだけでも」
「それなら安心です」
責任が軽くなって、ホッと胸を撫で下ろした。
……っと。
ここで安心している場合ではない。
ランチを楽しんでいるところじゃないのだ。
私には使命があるのだから。