それは危険なラブミッション

◇◇◇

それからの私は、友達と待ち合わせていることを装ったり、ホテルスイーツを買いに来た振りをしたりして、ケープホテルに幾度となく足を運んだ。

当然のことながら、岬さんに会えないこともあったものの、頻繁に顔を合わせるという、夕菜の手ほどき第1弾と第2弾は何とか実行していたのだった。


『岬は落とせたか?』


そんな連絡がルイ専用携帯に入ったのは、達哉くんと麻緒ちゃんと一緒に、お店の戸締りをし終えたときのことだった。

いつも持っているものと違う携帯を取り出した私を見て首を傾げている二人に、「先に帰っていいわよ」と告げる。
二人がお店を後にしたことを確認すると、再び携帯を耳に当てた。


「そんなに簡単にいくわけないでしょ」

『……そうか』

「何かあったの?」


ルイ専用の携帯に連絡が入ったのは初めてのこと。
もっと頻繁に私を急かせる電話が入るものだとばかり思っていただけに、ちょっと拍子抜けしているところだった。

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