それは危険なラブミッション

②入園チケットの行方



「ほぼ完璧と言ってもいいくらいね」


外出の途中にランチも兼ねて寄った木漏れ日。
岬さんとの中間報告を聞いた夕菜は、大きく頷いた。


「しかも、手ほどき第3弾を自然とやっちゃうんだから。莉夏、略奪の素質があるわ」

「……そんなこと言われても、全然嬉しくない」


第3弾というのは、彼の前ではノタノタと行動をすること。
思わず手伝わずにはいられない状況を作るということらしい。

心理学的にいうところの、認知的不協和理論というのを利用するのだとか。
心の中にある矛盾を解消する心理作用らしい。
手伝う=嫌悪感を抱いていない相手=もしかしたら自分は好意を抱いている? という疑念に折り合いをつけて納得するということみたいだ

つまり、ワインでドレスを汚したことといい、靴をダメにしたことといい、それが意図せずバッチリ当てはまったのだ。
とはいうものの、岬さんとはまだ偶然会うという域を脱しておらず、約束を取り付けたりだとかいうアクションを起こしたわけではない。

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