それは危険なラブミッション
お互いに名刺交換もして、私の携帯ナンバーだって知っているけれど、一度も連絡が入ったことはない。
ということは、岬さんの私に対する興味は、限りなくゼロに近いというわけだ。
借金2千万帳消しは、まだまだ遠い道のりらしい。
「いらっしゃいませ」
マスターの声に、夕菜もお客様を出迎える。
「……誰かと待ち合わせかな」
ボソッと呟いた夕菜の一言に、何気なく入口の方へと視線を投げかけた。
――えっ!?
岬さん――!?
ガタンと椅子を鳴らして立ち上がる。
そこには、店内を見回す岬さんの姿があったのだ。
「よかった、本当にここにいたんだね」
私を見つけた岬さんが足を進める。
夕菜はポカンと口を開いたまま固まってしまった。