それは危険なラブミッション

「――っ、夕べ、なかなか眠れなかったの」

「ほう。俺と動物園に行くのが楽しみで眠れなかったということか」

「ちがっ、そうじゃなくて、」


勝ち誇ったような笑みを浮かべるルイの格好を改めて見て、思わず言葉を失くした。

カーキ色のカーゴパンツに黒いテイラードジャケットを羽織った、カジュアルな装い。
いつものスーツ姿ではなかったのだ。
見慣れないルイに、心ならずもドキッとする。


「何だ」

「――ううん、スーツじゃないんだと思って」

「動物園はスーツに革靴で行くところではないと認識しているが?」

「そ、それはそうだけど……。それに、車も」

「ああ、あれか」


チラリとBMWに目をやり、鼻先で笑った。


「リムジンは仕事の移動用だ。こっちはプライベート」

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