それは危険なラブミッション

その4、彼女の悪口を言わせる。
それが本心からの悪口じゃないとしても、口に出すことで次第にそう思ってくるものだということらしい。
なんて酷いと思うのは、私だけじゃないはずだ。

岬さんの場合は悪口を言ったことにはならないものの、夕菜の分析によれば、親同士が勝手に決めたことだと言ったことがそれに当てはまるらしい。
意図せずにそうなった点も多々あったけれど、確かに、夕菜の手ほどき通りにしてきたことで、岬さんの興味が少なからず私に向いてきていることは実感としてある。


「セレブって、挨拶で外国の人みたいに抱擁するもの?」

「え? どうだろう? セレブの知り合いがいないから何とも答えられないけど……。されたの?」

「うん、岬さんとの別れ際に。私がビックリしてたら、挨拶だよって」

「流れからして、挨拶だけの意味合いじゃないでしょう」

「……そっか」

「あれ? どうしてそこで落ち込むの? 計画がうまく行きかけてるんだもの、喜ぶところでしょ」


夕菜に指摘されて我に返る。

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