それは危険なラブミッション
◇◇◇
そして、その日はあっという間に訪れた。
生憎の雨模様。
岬さんとの約束の日は、朝から冷たい雨がシトシトと静かに降り注いでいた。
岬さんは、黒のトレンチコートをデニムでカジュアルダウンさせたモノトーンのコーデで出迎えてくれた。
ルイ同様、普段とは違う格好がドキッとさせる。
二人とも、さすがは洗練された男性という印象だ。
マンションの前に停められた車にエスコートされて乗り込むと、車は雨を蹴って走り抜けて行く。
「普段の行ないが悪かったか」
岬さんがフロントガラス越しに空を悩まし気に見上げた。
それを言うなら、私の行ないの悪さが祟っているに違いない。
「残念ですね、雨で」
岬さんに行きたいところを考えておくように言われたものの、特に思いつく場所もなく。
私の頭が捻り出した答えは、ドライブデートだった。
行き先は特に考えていない。