それは危険なラブミッション

◇◇◇

そして、その日はあっという間に訪れた。

生憎の雨模様。
岬さんとの約束の日は、朝から冷たい雨がシトシトと静かに降り注いでいた。

岬さんは、黒のトレンチコートをデニムでカジュアルダウンさせたモノトーンのコーデで出迎えてくれた。
ルイ同様、普段とは違う格好がドキッとさせる。
二人とも、さすがは洗練された男性という印象だ。

マンションの前に停められた車にエスコートされて乗り込むと、車は雨を蹴って走り抜けて行く。


「普段の行ないが悪かったか」


岬さんがフロントガラス越しに空を悩まし気に見上げた。
それを言うなら、私の行ないの悪さが祟っているに違いない。


「残念ですね、雨で」


岬さんに行きたいところを考えておくように言われたものの、特に思いつく場所もなく。
私の頭が捻り出した答えは、ドライブデートだった。
行き先は特に考えていない。

< 174 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop