それは危険なラブミッション
その提案に頷くと、岬さんはハンドルを少しだけ左へ切り、インターチェンジへと車を進める。
表示されたままのナビの画面の隅には、海が映し出されていた。
車を進めるにつれて、青空が近づいてくる。
ボンネットやフロントガラスに付いていた雨粒も、風に飛ばされたのか乾いたのか、いつの間にか姿を消していた。
そして、海を眼で確認できる頃には、完全に青空の真下だった。
「青空み~つけた」
子供みたいに笑うと、岬さんは海岸線を見渡せる、少し広めにスペースの取られた路肩へ車を停車させたのだった。
「砂浜に下りてみようか」
「はい。……あの、お弁当なんてものを作ってきちゃったんですけど、」
「お弁当!? 莉夏さんの手作り?」
「一応は……」
味の保証はあまりないけれど。
お弁当なんて何年ぶりに作っただろう。
「それは嬉しいな」
これ以上ないという笑みを岬さんが浮かべる。
感情をストレートに表してくれるから、こっちまで嬉しくなってくる。