それは危険なラブミッション
「どうしてですか? その方が手っ取り早いじゃないですか」
「面倒なことは嫌いだ」
――め、面倒だなんて。
あまりにも自分中心な発言に言葉を詰まらせてしまった。
「私だって、同じです」
なんとか気を落ち着かせて答えると、彼が目を見張る。
「債務者が債権者と同じ土俵に立てるとでも?」
「なっ……」
思わず拳を握り締めた。
100%私を見下した言い方だ。
「それで借金が帳消しになるのなら、これほどいい話はないだろう」
「ですから、できません」
「ならば、答えは一つ。借金を返すのみだ」
「――っ」
彼は、目に笑みさえ浮かべて言ったのだった。