それは危険なラブミッション

岬さんが真っ直ぐに私を見つめるから、堪えきれなくなって目を逸らした。

すると、正座をして膝の上に置いた手の上に、岬さんの手が重ねられる。
そっと重なっただけの手に、目には見えない強さを感じるせいで、身動きひとつできない。


「困ったような顔、しないで」

「困ってなんて……」

「ない?」


コクンと頷く。
岬さんに包み込まれた手をどうしたらいいのか分からなくて、ただ黙って俯いた。

恋愛慣れしていない私には、縁談を壊すだなんてハードルが高すぎる。
これからどうなるのか全く読めなくて、そうだからこそ緊張に胸が張りつめた。


「彼……東城寺ルイがもともと、東城寺家の人間じゃないのは知ってる?」

「え?」


突然の話題転換だった。
違う方へ向いていた思考に急ブレーキをかけ、岬さんが放った言葉へと向かわせる。

ルイが東城寺の人間じゃないって言ったの?
だとしたら……どういうこと……?

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