それは危険なラブミッション
「そうですか」
住職は穏やかな表情のまま目を伏せた。
今日は両親の3回忌法要だった。
突然の交通事故で亡くなった二人には、互いに兄弟はおらず、私も一人っ子ということもあって、親族と呼べる人は誰一人いない。
法要といっても私だけでひっそりと執り行う簡素なものだった。
「何かあったら、いつでも私のところへおいでなさい」
話なら何でも聴きますよと、住職は優しく笑うのだった。
黄昏時というのは、人を感傷的にさせるものなのかもしれない。
その言葉が、私の心に深く染み入るのだった。