それは危険なラブミッション

②二つに一つの無茶な選択



それは、私の人生史上、最悪な目覚めだった。

夕べ突きつけられた、理不尽とも思える借金の肩代わりのことを考え出したら、明け方まで眠れなかった私。

答えを見い出せないまま襲ってきた睡魔にウトウトし始めると、今度はカーテンの隙間から射し込む太陽が容赦なく瞼を照らす。

普段なら、そんなものに屈することなく眠りにつけるというのに、今朝ばかりはダメだった。
いくら目をギュッと閉じても、毛布を被って光を遮っても、一向に眠れない。

チラつくのは、あの東城寺ルイという男の顔。
いい加減にしてとばかりに枕を壁にぶつけてみたところで、不敵な笑みは消えなかったのだった。


眠ることを潔く諦め、熱いシャワーを頭から浴びる。
これまた熱いコーヒーで喉を潤す。

そうして出掛けるまでの時間、何をするわけでもなく過ごし、店に到着してみれば、先に着いていた麻緒ちゃんに「一体どうしたんですか!?」と目を見開かれた。


「……どうしたって何が?」


何に対して驚いているのか皆目分からず、麻緒ちゃんをただ見つめるばかりの私。

< 20 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop