それは危険なラブミッション
「……高いところが特別苦手というわけじゃない」
「そうなの? 飛行機も乗れないっていうから」
「俺にはこの部屋で充分だ」
社長という肩書に物を言わせて振舞うような性質ではないらしい。
意外と堅実派なのかもしれない。
……そうだ。
ルイは両親を亡くして、長いこと施設で暮らしていたのだ。
岬さんから聞いた話を思い出した。
何不自由なく育ったわけじゃない。
純粋培養のセレブではないのだ。
そんな生い立ちがルイの内側に隠されているからこその、この生活ぶりなのかもしれない。
「ところで、岬とはその後どうなってる」
「えっ」
思わずギクリとする。
「何をそんなに驚く必要がある」
更に畳みかけられて、口をパクパクとしてしまった。