それは危険なラブミッション
バリ島にルイがいるはずがないのだから。
――いや、来られるはずがないのだ。
「達哉と言ったか? 店に行ったら、彼にバリ島へ行ったと聞いたんだ。ここへは滞在先のフロントに聞いた」
「なにで来たの?」
「タクシーだ」
「そうじゃなくて。まさか、日本から船?」
「船で何日かかると思ってる」
「それじゃ、飛行機に乗って来たの?」
飛行機は苦手だって。
北海道すら、飛行機を使わずに行くルイが?
「どこでもドアでもあればいいんだが」
嘘でしょ……。
涼しい顔で冗談を言って微笑むルイを茫然と見つめた。
そんな私のことは気にならないとみえる。
ルイは、無造作に置いてある家具を興味深そうに眺め始めた。
「この素材は?」
「ソレハ ウォーターヒヤシンス」