それは危険なラブミッション

「それなら、莉夏ちゃんが選ぶといいよ。彼と一緒に行くというのなら、俺はそれでいいし」


二人の目が揃って私に注がれる。

この状況をどこか面白がっている羽生さんと、不満顔のルイ。
対象的な二人を前にして、妙なことになってしまった。

羽生さんは大事な取引相手。
ルイは……


「迷う必要はないだろう」


いつまでも迷っていると、ルイが強引に私の手を取る。
弾みで、ルイの胸にトンと肩がぶつかり、抱き寄せられるような格好になってしまった。

なぜかカーッと熱くなる頬。
それを隠したくて顔を伏せる。


「それでいいのかな? 莉夏ちゃん」


羽生さんに聞かれてルイをチラリと見やると、NOとはとても言えそうにない顔だった。


「……はい」

< 219 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop