それは危険なラブミッション
「あの男の人、莉夏さんに何の用だったんですか?」
「あ、うん……」
何と言って説明しようか。
本当のことを話したところで、この店がなくなるんじゃないかと不安にさせるだけ。
それなら、わざわざそうさせることもないだろう。
「亡くなった私の両親がお世話になった人らしいの」
適当にアレンジして答える。
麻緒ちゃんは、「そうなんですか」と言ったものの、どことなく疑問を残しているような表情だった。
ちょうどそこへ出勤してきた達哉くん。
「おはようございまーす。っと、あれ? 莉夏さん、寝不足ですか?」
底抜けに明るい言い方に救われる。
おかげで、麻緒ちゃんにそれ以上突っ込まれずに済んだのだった。
「映画観てたら、朝になっちゃったのよ。ヒドイ顔だって、麻緒ちゃんにも今言われてたところ」
ね? と麻緒ちゃんと頷く。