それは危険なラブミッション
「それじゃ、あとは日本に送っておくから心配しなくていいよ。彼と楽しんでおいで」
含ませたような言い方が少し気になったものの、「ありがとうございます」と頭を下げて、ルイと外へと出た。
待たせていたらしいタクシーの運転手は、車から降りて現地の人と話し込んでいた。
ルイを見つけてにこやかに手をあげる。
「待たせたな」
「イエイエ。ドウゾドウゾ」
愛嬌のある笑顔で後部座席のドアを開けてくれた。
「デハ、シュッパツ シマスネー」
「ああ、頼む」
ウブドの比較的奥地のこのあたり。
舗装されているとはいえ、日本の道路のようにはいかない。
時々身体を大きく弾ませながら、車は進んでいく。
リムジンやBMWに乗り慣れたルイには、少しばかり乗り心地が悪いんじゃないだろうか。
左右に揺られるたびにルイの肩先とぶつかる。