それは危険なラブミッション
握られていた手が、ふと軽くなる。
飛行機が水平飛行を始めたようだ。
「……大丈夫?」
ルイの顔を覗き込むと、「ああ」と小さく返された。
ルイの緊張が解けると同時に、それが私まで伝染したのか、急に眠気が襲ってくる。
ふわぁと大きな欠伸をかみ殺した。
「少し寝るといい」
「そうだね、そうする」
一睡もしないまま、夜のフライト。
ルイが隣にいようがいまいが、目を閉じればすぐにでも眠れそうだった。
「肩なら貸してやる」
「いいってば」
上から目線の言い方に遠慮すると、ルイが強引に私の頭を自分の肩に押し当てた。
「――っ」
「窓に寄りかかるよりいいはずだ」
「……ありがと」
無機質の窓よりは、確かにずっといい。
素直に従うことにしたのだった。
頭は重くないだろうか。
不細工な寝顔を見られやしないか。
そんなことを考えたのは、ほんの一瞬のこと。
すぐに押し寄せた睡魔は、私の雑念ごと綺麗さっぱり連れ去ったのだった。