それは危険なラブミッション

熊のように大柄。
クリッとした目も性格も愛嬌があって、ここのお客にも慕われている。


「いつものでいいかい?」


聞いておきながら、私の返事も待たずにコーヒーミルを操作する。
すぐにいい香りが漂ってきた。


「どーも」


肩に置かれた手に見上げる。


「その顔、どうしたの?」


何度、そんな反応をされただろう。

憐みとも取れる眼差しを向けてきたのは、この店で働く、高校時代からの親友でもある奥山夕菜(おくやま ゆうな)だった。

長い黒髪をゴムで一つにまとめ、キリっとした眉に大きな目。
卵型の顔はモデル並みに小さい。
目を引く美人だ。


「夕べ、眠れなかったの」


言っているそばから、ふわぁと欠伸が出てきた。

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