それは危険なラブミッション
「でも――」
何も言わないルイに代わって言葉を発しようとした私に向けて、岬さんが人差し指を立てる。
口を封じるつもりみたいだ。
「莉夏さんの言いたいことは分かってる。騙して近づいた自分をどうして助けるような真似をってことだよね?」
まさにその通りだった。
そのことを知ったラーメン屋で、岬さんは私を見限ったと思っていたから。
どうしようもない女に振り回されたと。
もう二度と顔も見たくないと思われただろうから。
「簡単なことだよ。莉夏さんを欲しくなった」
……え?
すぐには理解し難いことだった。
多少なりとも岬さんの好意は感じたけれど、鳥居さやかさんとの結婚を破談にしてまでの想いだとは思いもしなかったから。
事実、一緒に行った海でも、岬さんは政略結婚に異論はない様子だったのだ。
むしろ、それを喜んで受けるという印象すら持った。