それは危険なラブミッション

「政略結婚でナンバーワンの地位に登りつめるよりも、莉夏さんを選んだ。それだけのこと。1位の座は、自分の実力で勝ち取ればいいだけのことだからね」


私にというよりは、ルイに向けて言っているように見えた。

ルイは、岬さんの言葉をどう思ったんだろう。
ホテル業界ナンバーワンの地位を守れたことでホッとした?
それとも……岬さんの想いを聞いて、少しは私を渡したくないと思ってくれた?

キスの記憶が、私に余計なことを吹き込む。
はっきりとした答えを聞きたくなくて選んだ曖昧な関係が、今になって私を焦らせた。

押し黙ったまま見つめ合う、ルイと岬さん。
緊張が張りつめているように思うのは、私が勝手にそう感じているものなのか。
息苦しいほどの空気から一番に抜け出したのは、岬さんだった。


「言いたいことは言ったし、今日のところはこれで切り上げるよ。莉夏さん、また連絡するから、その時に莉夏さんの気持ちを聞かせて」


……私の……気持ち……?
岬さんが私たちに背を向ける。


「えっ、あ、あの……」

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