それは危険なラブミッション
聞こえているはずの私の声を敢えて無視しているのか、岬さんは立ち止まることなくその場から立ち去ったのだった。
ルイがゆっくりと私へ顔を向ける。
その表情が少し不機嫌そうに見えるのは、私の願望のせいかもしれない。
「アイツ、この俺に、自分の言い分だけ言って去るとはいい度胸だ」
思った通り不機嫌だったらしい。
けれど、ルイの癪に障ったのは、そこだけだということだ。
私のことをどうこういうつもりは、ルイには全くない。
莉夏が欲しけりゃ、持って行け。
そう言われた気分だった。
それなら、どうして?
あのキスは何だったの?
やっぱり、ただの成り行き?
延々と答えの出ない疑問が苦しい。
「……ねぇ、ルイ、」
私の問いかけにルイが振り返ったときのことだった。
「ルイ様!」
大きく響いた声にルイと振り返る。