それは危険なラブミッション
「どちらも彼氏じゃございません。はいはい、二人とも仕事に戻る」
手の平を二回叩いて、その話に終止符を打った。
店の奥にこもって、バリ島で羽生さんからもらった仕入れリストに目を通す。
クールヒヤシンスのソファとテーブルが1セット、それから――……。
そうして大事なチェックをしているというのに、ちょっとした隙をついてルイの顔がチラついてくる。
突然、バリ島に現れたルイ。
あれは、視察のついでじゃなかったの?
達哉くんと麻緒ちゃんの言うように、私を追って来たの?
帰りの便が同じだったのは、最初から狙って?
自分に都合良く考えたら、後で痛い思いをする。
それが分かっていながら、そうだったら嬉しいという思いに負けてしまう。
不意にルイの唇の感触が蘇って、早鐘を打ち出す鼓動。
このままここに一人でこもっていたら、収拾がつかなくなる。
お店に出よう。
そう思って立ち上がったときだった。
「莉夏さん、お客様です」
麻緒ちゃんがそっと顔を覗かせた。