それは危険なラブミッション

「しかも、飛行機だというんですから」

「……飛行機、そんなに苦手なんですか?」

「苦手などというレベルではございません。ご両親を飛行機事故で亡くされているんですから」

「えっ……」

「――っと、これは失礼いたしました。余計なことまで……」


ルイの御両親が飛行機事故で……?
だから飛行機に乗れなかったの?

亡くなったことは岬さんから聞いていたものの、そういうことだったとは思いもしないことだった。

帰りの飛行機で額に脂汗をかきながら、私の手を必死に握ったルイを思い返す。

苦手という単純なものじゃない。
それなのに無理を通してバリ島へ。
どうして、そこまでして……?

勝手な思い上がりだという可能性は0%ではない。
けれど、その疑問の答えは、ひとつしかないように思えた。

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