それは危険なラブミッション
ルイがあまりにもあっさりと答えるから、その後のリアクションを用意すらできなかった。
まるで、空気を求める金魚のように、口をパクパクさせる私。
「YESで悪いか」
全然悪くない。
大袈裟に首を横に振る。
でも……
「そ、それって、友人としてじゃなくて?」
「しつこいぞ。俺は好きでもない女とキスはしない」
それじゃ、政略結婚をした場合はどうするんだろうか。
ふと浮かんだ疑問は、今の私にお呼びでない。
お役御免にして、闇に葬った。
一瞬にして蘇ったバリ島の夜を思い出して、顔がカーッと熱くなる。
ふと見てみれば、ルイも心なしか頬が赤い。
「……もしかして、照れてる?」
「放っておけ」
ルイはプイと顔を背けた。
少し拗ねた顔にさえ、いちいちドキドキする。
ルイとの関係が、ほんの数分のうちに激変してしまったのだった。