それは危険なラブミッション

「…………」


自信たっぷりの言い方に何も言い返せない。


「それとも、岬に気持ちがなびいたか?」

「――っ、それはないけど」

「なら問題はない」


思わず元気よく“うん”と頷きそうになる。
そのくらいサラッと問題解決されて、肩すかしをされたようだった。


「すっかり冷めたな」


コーヒーに口を付けたルイが言う。


「それじゃ、私が淹れ直してくる」

「いや、莉夏は座ってろ」


カップに伸ばした手をルイに遮られた。
ちょっと手が触れただけだというのに、大袈裟なほどにサッと手を引く。


「……ごめん」


妙に意識してしまってダメだ。
さっきまでの気安い空気が一変したようで、平静を保とうとすればするほど胸は高鳴るばかり。

< 276 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop