それは危険なラブミッション
コーヒーを淹れ直しに立ち上がるだろうと思われたルイが、まだ隣にいることで、私一人ばかりが緊張する。
しかも、ルイの視線を横顔に感じるから堪らない。
「莉夏」
「な、なに?」
急に名前を呼ばれたものだから素っ頓狂な声だし、笑顔は作り物。
頬が少しばかり引きつる。
挙動不審率100%だ。
硬直している私に構うことなく、頬に伸びてきたルイの手。
その手がムニっと私をつねった。
バリ島に引き続き、第2弾。
「――な、何するの?」
「不自然な笑顔に刺激を与えてやっただけだ」
不自然って……。
それはそうだけれど。
「それとも、何か別のことでも期待したか?」
「……別のことって?」
「これだ」