それは危険なラブミッション

さてと、完成だ。
皿に盛り分けて、ルイの待つところへと戻る。


「ルイ、お待た――……」


掛けた声を途中で止めた。

ソファに横になって目を閉じたルイ。
私が近づいても、全く気付く素振りもない。
眠ってしまったらしい。

バリ島から帰った直後の株主総会だ。
疲れていないはずがない。
ゆっくりと安定した呼吸が、深い眠りを表していた。

せっかく作ったけれど、起こすのは可哀想だ。
ベッドルームから勝手に拝借した毛布をルイに掛け、そばにストンと腰を下ろした。

伏せられた長い睫毛。
嫌味なくらいに通った鼻筋。
すべすべの肌は、思わず手を伸ばして触りたくなってしまいそうだ。

いつだって上から目線。
何にも屈しないルイは、寝姿までもが凛としている。
美しい寝顔は、いつまで見ていても飽きそうになかった。

けれど、きっとルイは朝まで目を覚まさないだろう。
もう少し一緒にいたいけれど、このままこうしているわけにもいかない。

ここへ来たときよりも胸に温かさを感じつつ、ルイの部屋を後にしたのだった。

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