それは危険なラブミッション

◇◇◇

「何かいいことありました?」


それは、お店に着いてすぐのことだった。
達哉くんが私の顔を覗き込んで、しげしげと観察し始める。

確かに夕べ、私にとっていいことがあったことは事実だ。
でも、鼻歌が出てきたわけでもない。
顔がニヤついているわけでもない。

それなのに、一体どこからそんな匂いを嗅ぎつけるというのだろうか。
達哉くんの観察眼が優れているのか、私が分かりやすい性質なのか。


「……何もないわよ?」


そう答えたにも関わらず、達哉くんの探偵ばりの鋭い視線が逸らされない。


「そうですかぁ?」


怪しいとばかりに眉を潜める。

そうされれば、誰だって目を逸らす。
それなのに達哉くんときたら、その行為に対して「これは“黒”だな」と判定を下したのだった。


「いいから、仕事仕事」

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