それは危険なラブミッション
その後についていくと、左手奥の窓際のテーブルで、岬さんが私に気付いて立ち上がるのが見えた。
ルイはまだ到着していないようだ。
ふと、岬さんの隣にどこかで見覚えのある顔があることに気付く。
あの女性は……。
ゆっくりと歩きながら、記憶回路を高速回転させる。
――思い出した。
岬さんの縁談の相手、鳥居さやかさんだ。
写真で見るより、数段美しい。
けれど、どうして彼女がここに……?
岬さんのいるテーブルへ私を案内すると、男性スタッフは会釈をして下がった。
「莉夏さん、こんばんは。もしかしたら来てくれないかと思ったけど、よかったよ」
岬さんが微笑む。
チラッと見やった鳥居さんも、私に優雅な笑みを送ってよこしたものだから、私も慌てて会釈で返した。
「あの、」
「東城寺ルイのことなら心配しないで。ほら、あそこに」
岬さんの視線の先を辿って行くと、私同様、スタッフに案内されてこちらに向かうルイの姿が見えた。