それは危険なラブミッション

その後についていくと、左手奥の窓際のテーブルで、岬さんが私に気付いて立ち上がるのが見えた。
ルイはまだ到着していないようだ。

ふと、岬さんの隣にどこかで見覚えのある顔があることに気付く。

あの女性は……。
ゆっくりと歩きながら、記憶回路を高速回転させる。

――思い出した。
岬さんの縁談の相手、鳥居さやかさんだ。
写真で見るより、数段美しい。

けれど、どうして彼女がここに……?

岬さんのいるテーブルへ私を案内すると、男性スタッフは会釈をして下がった。


「莉夏さん、こんばんは。もしかしたら来てくれないかと思ったけど、よかったよ」


岬さんが微笑む。
チラッと見やった鳥居さんも、私に優雅な笑みを送ってよこしたものだから、私も慌てて会釈で返した。


「あの、」

「東城寺ルイのことなら心配しないで。ほら、あそこに」


岬さんの視線の先を辿って行くと、私同様、スタッフに案内されてこちらに向かうルイの姿が見えた。

< 290 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop