それは危険なラブミッション
機嫌が悪そうに潜めた眉。
微かな怒りさえ感じる表情だった。
ルイは私へ向けた眼差しを一瞬だけ和らげたものの、すぐに険しい視線に戻した。
「岬碧衣、一体何の真似だ」
テーブルに到着するなり、厳しい口調で問いたてる。
ルイもここへ呼ばれただけで、あとは何も聞かされていないらしい。
「まぁそう目くじらを立てるな」
岬さんに宥められても、納得のいかない顔は変わらなかった。
「まずは紹介するよ。こちらは鳥居さやかさん、ホテル雅のご令嬢だ。二人とも知っているだろうけどね」
どこか含ませたように岬さんが言う。
鳥居さんは立ち上がると「鳥居さやかです」と微笑んだ。
「どうぞ掛けて」
岬さんに促されて、ルイが渋々腰を下ろす。
それを見届けてから、私も座った。
ルイの前に鳥居さん、私の前には岬さん。
この不思議な取り合わせは、一体何なんだろう。
何とも言えないぎこちない空気に包まれる。