それは危険なラブミッション

「そうじゃない」


ルイを遮る強い声。


「さやかさん、教えてあげるといいよ」


ルイに向けられた声とは逆に、鳥居さんに優しく笑いかける。
岬さんの二面性を見たような気がした。


「ルイさん、私のこと、本当に分かりませんか?」


“ルイさん“?
二人は以前からの知り合いなの……?

鳥居さんが切実な目でルイを見つめる。
ルイは首を傾げて頷いた。
顔に覚えはないらしい。


「ひまわり園で一緒だった、田辺さやかです。ルイさん、私のことは“さーちゃん”と呼んでくれていました」


……ひまわり園?
それって、もしかしてルイがいたという施設?
鳥居さんもそこの出身なの?


「さーちゃん?」


ルイがポツリと呟く。

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