それは危険なラブミッション
◇◇◇
「莉夏(りか)さん、おかえりなさい」
ドアを開けて中へ入ると、明るい声に出迎えられた。
ここAngin(アンギン)は、バリ雑貨を扱う私のお店だ。
どこか現実とはかけ離れた霊園にいたせいか、やっと戻ってこられたという安堵の気持ちで「ただいま」と返す。
店内に漂うお香の匂いが、さらに私を落ち着かせた。
さっきの明るい声の持ち主である麻緒(まお)ちゃんは、この店で働いてくれているスタッフだ。
肩甲骨まである長い髪をポニーテールにした毛先はクルンとカールし、色白で大きな二重瞼がチャームポイント。
活発で素直な25歳。
細かいことにもよく気の付く子で、おおざっぱな私にとってはとてもありがたい存在だった。
いつか雑貨店を持つのが夢で、大学で経営学を学んだらしい。
「莉夏さん、預かりましょうか?」
さりげなく手を出して私の手荷物を受け取る。