それは危険なラブミッション
◇◇◇
2025号室。
岬さんの待つ部屋の前まで来ると、深呼吸をひとつしてチャイムを押す。
すぐに開かれたドアから、岬さんがにこやかな顔を覗かせた。
「……こ、こんばんは」
「待ってたよ。入って」
「お邪魔します……」
岬さんのエスコートは何度されても慣れない。
妙な緊張に包まれて、違う意味で胸がドキドキする。
広いリビングまで来ると、テーブルの上に並べられた料理に気が付いた。
「夕食、まだだろうから、料理を運んでもらったんだ」
私の視線を察知した岬さんが答える。
「前に一緒にランチを食べたときに美味しいって喜んでくれたから、その店のものをね」
豪勢な中華料理が所狭しと並んでいた。
話だけをして帰ろうと思っていただけに、岬さんの歓迎ぶりに正直戸惑ってしまった。