それは危険なラブミッション
「さぁ、座って」
酷い仕打ちをした上、せっかく用意してくれた料理を台無しにするのは……。
椅子を引いてくれた岬さんを拒絶することはできなかった。
今夜が最後。
きちんと話して、誠心誠意謝ろう。
そう胸に誓って腰を下ろす。
岬さんが注いでくれた紹興酒に口を付けた。
「何が好きか分からないから、一通り頼んでしまったよ。好きなだけ食べてね」
「あの、岬さん、その前にお話が……」
岬さんの顔に一瞬だけ影が落ちる。
「今回のこと、軽率だったと反省しています。岬さんには申し訳ないことをしてしまいました。本当にごめんなさい」
立ち上がって、頭を下げられるところまで腰を折り曲げた。
こんなことで済まされる問題じゃないことは分かってる。
私の軽率な行動で、一流ホテルの将来が左右されてしまうのだから。
でも、ここから始めなくてはならない。